日本オルガン研究会について

日本オルガン研究会は、1973年、一握りのオルガニストたちのオルガンへの熱い思いにより設立された。松原 茂と辻 宏を中心として、数名のオルガニストや研究者が意気投合して活動を始めた。最初の活動は、既に1969年から神奈川県の個人宅で始まっていた。日本とオルガンの関わりは、既に16世紀のキリスト教伝来の時代に遡るが、禁教および鎖国の政策により途絶え、19世紀に禁教令が解かれたことにあわせて欧米の宣教師たちにより再到来した。当初もたらされた楽器の多くが、リードオルガンであった。僅かに設置されていたパイプオルガンも、関東大震災や第二次世界大戦によりそのほとんどが消失し、音を聴ける楽器は極めて少なかった。当会創設者たちが、パイプオルガンとその音楽を深く知り、学ぼうと立ち上がったのはこのような時代であった。

松原初代会長は、オルガノロギーOrganologieつまりオルガンという楽器をめぐる学問的研究を基本とし、機関誌「オルガン研究」の発刊と「日本オルガン会議」、年に5回の例会開催を活動の中心に据えた。このコンセプトは、創設後半世紀をむかえる今日も揺るぎなく守られている。他の刊行物には「オルガンニュース」もある。「オルガン研究」や「日本オルガン会議」が学術的主題について研究、講演、議論を行うのに対し、「オルガンニュース」は、身近で日常的な情報を提供する。例会では、研究発表や研究演奏のほか、注目されるオルガンの見学会も行っている。これらの活動で、創設から今日まで活発に議論されてきた内容には、主として次のものがある。

オルガンおよびその音楽や歴史等に関する古典的文献および現代の注目される著作の紹介や研究、個々の作曲家や作品に関する研究、オルガンの演奏様式や建造様式の研究、オルガンと音響そしてオルガンと建築の研究など。

創設から今日まで、日本オルガン研究会は、世界のオルガンの動向に同調しながら、様々な情報の中から重要なテーマを取り上げ、過去半世紀にわたる日本のオルガン研究、演奏、楽器製作に大きな影響を与え続けてきた。一握りの有志で始まった小さなグループが、オルガニスト、研究者、そして愛好者を含め、学習と研究を通して、オルガンとオルガン音楽の発展に資することを目的として、現在550人に及ぶ会員を擁する団体にまで成長している。